母親から送ってもらった着物をよくよく見ると、
デパート等に入っている着物屋さんのそれとはずいぶんちがうんです。
すごく素敵なんですよ、個性的でもあるし(奇抜とは違いますよ)
洋服では(余り)見られなかった、母親のセンスを見直しちゃいました。

さて、いよいよ「着付け」です。

私の手元には、図書館で借りてきた(せこい?)「着付けの本」と「ビデオ」が
あります、それを見つつ眺めつ。
着て行ったのですが、やはり思うようには行かない。

「はだぎ」を合わせるんだけど。お手本のように「ゆったり」合わない。
「ゆったり」に気を付けると、胸がはだけるし、
はだけないよう気を付けると、うしろ衿がつまる。。。。

 そして何より「おはしょり」の長さがうまく取れない。 長すぎるの。
帯の下から「親指の長さくらい」のはずが「中指の長さ以上」出てしまう。
伊達帯の間にはさんでもおっこちてきちゃうし。
 業を煮やした私は結局「腰骨(へそ下)の位置」で結ぶはずの「腰ヒモ」を 
「ウェスト(へそ上)の位置」で結んでしまいました。
結構Goodなので今もそうしています。(見えないところはいい加減)

 あと、どうしても理解できないのが「お端折りの下をまっすぐに揃える」テク
後ろはいいの、前も「中身ごろを上におりあげる」ことは何とか、、しかし。
「横」は?「ヨコ」。どの本にも前と後ろは載ってるのに横の絵がない。

「横」は前と後ろからやってくる余りの分をタックにしたりするので、
結構ごちゃごちゃするんです。
それをすっきりさせたいのだけど、どうして良いのかわからない。

それからは、町で着物の人を見かけるとその人の「横」にまわって
“ジッ・・・”と、見つめてしまうようになった私なのでした。

さて、着物のセットが送られてきたのはいいけど、「着物」「浴衣」「長襦袢」
「たび」「帯」以外のものがなんだかわからない。
部屋いっぱいに広げた小物と、買った「着付けの本」を見比べて、なかから
「腰ひもらしきもの」と「帯板」「肌襦袢と思われるもの」は摘出したものの、
まだまだ余る小物達。

これはやっぱり、送った本人に聞くのが早いと思い、母に電話。 

電話を取ったのは、父でした。
父:「おう、どうした、着物きるんだって? とうとう、そういう心境になったか。
見合いするか?」
私:「・・・・・・ちが〜う!ただ着物着てみたいだけなんだから、そういうのとは関係ないってば。」
父:「なんだ、つまらんのお」
私:「つまらんって。。。。母さんにかわって。。。。」

母:「どうした?荷物付いた?」
私:「うん、ありがとう。でね、わからないのがいっぱい有るんだけど。。。」
母:「わからないって。なにが?」
私:「たとえば、ピンクの太いゴムみたいなやつ、はじっこにマジックテープが付いてる」
母:「ああ、それは、伊達帯、もう一個ピンクの布で出来てて真ん中あたりだけ芯が入ってるのあるでしょ、それの簡易式なやつなのよ」
私:「そうか、これは、伊達帯。じゃあ、ひょうたんみたいな形してて、ハサむやつなに?」
母:「ひょうたん?なんだかなぞなぞみたいねえ。帯枕を乗せるところある?」
私:「ん?ああ、こっちを上とすると、乗せられるかな?」
母:「じゃあそれは、お太鼓をつくるときの補助器具ね」
私:「そうなの?で、どうやって使うの?」
母:「そんなの、電話で説明できないわよ、別に使わなくてもいいからいらないわよ。」
私:「だったら、送るなよお。。。」

こんな具合に、訳の分からない会話が夜中まで続き、何とか、小物達の名前が(あるていど)解明したのでした。

さて、思い立ったはいいけれど、それまで私が着たことのある着物は、
小学生時代の「ゆかた」、成人式の「振り袖」だけ、
その振り袖も、妹が結婚したときに「姉ちゃんは着ないんだから」と言って取られてしまっていたので、
自分の着物は一枚もない状態。
(当時は着たいと思っていなかったから軽い気持ちあげてしまった。)
しかも、「着付けの本」とか読んでも、ほんとに必要なものがよくわからない。

まあ、でも、母親に聞いてみれば、なんとかなるか。と思って電話してみました。

私:「ねえ、着物、着たいんだけど、あるかなあ?」
母:「なに、あんた、どうしたの?」
私:「いや、別に、ただ何となく着物着てみたくなっただけなんだけど」
母:「ええ?まあ、有るにはあるけど、なに?なんかあったのお?(疑わしげ)」
私:「なんもないよ!、ん、とにもお。ただ着てみたいだけなんだからさあ。」
母:「そう。で。訪問着でいいの?」
私:「いや、そういうちゃんとしたんじゃなくて、遊びに着ていけるよなやつがいいんだけど。」
母:「え?そうなの?じゃあ、小紋でいいの?」
私:「小紋って言うの?ふうん、、、じゃあそれと、ゆかたがあれば、いいけど」
母:「でもあんた、寸が合わないかも知れないわよ」
私:「すん?」
母:「だって、小紋って言ったら私のなんだから、サイズ違うでしょ」
私:「あ・・・・・」

そう、そうなのです、母の身長は158cm、私ときたら170cmもあってしかも
肩幅しっかりのガタイのでかさを誇っているのです。

私:「ええ〜、着れないのお?」
母:「まあ、着物だからね、あわせとか、お端折とか調節すれば、あるていどいけるでしょう。
 そこが着物のいいところよ。それてもだめだったら、洗い張りして、仕立て直せばいいし」
私:「ふうん、まあ最初は着物の着方を覚えようと思っているから、サイズが少し足らなくてもいいや」
母:「ゆかたは、また、男用の反物でも買ってつくっておくから」
私:「おとこよう。 (--;; ・・・・・ありがとう・・・・」

数日後、送られてきた段ボールには一組の着物(単衣)と浴衣と小物達が入っていました。 

まずは、私が着物を着ようと思ったきっかけ

それはたぶん、歌舞伎です。
私は元々芝居を観るのが好きで色々観ていたのですが、
  (といっても最初は「劇団3○○」「第三舞台」とかだった)

25歳くらいのときに花組芝居という「ネオ歌舞伎」の劇団を観始めていて、
そこから「本物の歌舞伎も楽しいのかも?」と思い、

27歳の頃(2年もかかっているが)歌舞伎座にいってみたのです、
そこで小劇場とは違う、長い年月をかけて完成されていった芝居の力にすっかり圧倒されてしまいました。

最初なので当然「イヤホンガイド」をしつつ聞いていたのですが、なかでも、衣装についての説明がおもしろく
「着物の柄の有りよう」「色の表現の多さ」「色の名前の美しさ」など、
着物文化の奥深さに初めて気づいたのです。(目の前にあるだけに、わかりやすかったし)

その後、歌舞伎の本を買って、さらに、着物の表現する様々なことを知るうちに。。。。

「日本人なら、着物の一つも着れんでどうする!」

と、いきなり思い立ったわけです。

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